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鼻とアレルギーとにおいのコラム

好酸球性副鼻腔炎-難治性の副鼻腔炎-

副鼻腔は吸ったリ吐いたりする空気が中を循環して加湿されたり清浄されるための小部屋の集まりです。それぞれの「部屋」は空気や鼻汁(鼻みず)の自然の出入り口(自然孔)を持っていますが、この自然孔が細菌やウイルスによる感染、アレルギーの影響などにより粘膜が腫れてつまってしまい、換気が悪くなると副鼻腔内に膿やポリープが充満してくる「副鼻腔炎」と呼ばれる状態になります。

この中でも、好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる、アレルギー体質が影響した副鼻腔炎は難治性と言われています。

 
 

好酸球性副鼻腔炎の症状

副鼻腔炎に一般的な症状として、鼻汁、鼻閉(鼻づまり)、後鼻漏(鼻がのどにおちる)、顔面痛、頭痛などがあります。 そして、好酸球性副鼻腔炎では嗅覚の障害「においがわからない・わかりづらい」という症状を訴える方が多いです。

 

好酸球性副鼻腔炎の検査と診断

鼻副鼻腔のCT検査、鼻腔ファイバースコープ検査、血液検査などを行い、①血液中好酸球値(比率)が高い、②鼻茸(ポリープ)がある、③CTで篩骨洞という副鼻腔の炎症が他の副鼻腔にくらべて強い、④両側の副鼻腔に炎症がある、といった項目に当てはまる方が、まず、「好酸球性副鼻腔炎の疑い」とされます。

その後、手術などの際に鼻茸(ポリープ)を切除し、病理組織学検査によって、組織中の好酸球の数が基準を超えた場合に「好酸球性副鼻腔炎」と診断されます。

好酸球性副鼻腔炎は厚生労働省指定難病ですので、難病指定医のもとで書類を作成し申請、認定された場合、医療費の助成が受けられます。

ただし、認定の条件として、過去に手術を一度以上受けていること(検査だけでは認定されないことがあります)、重症度が高い(中等症もしくは重症)ことなどが重視されています。

 

好酸球性副鼻腔炎の治療

従来の慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療として多く行われているマクロライド系抗生剤(クラリス®、クラリシッド®etc.)の少量長期内服治療はあまり効果がありません。

ステロイドの内服が効果的ですが、副作用が大きく、長期間の内服は厳重な管理が必要となります。

そのため、まず、ステロイドの点鼻薬と、生理食塩水による鼻洗浄(鼻うがい)を基本として治療を開始します。

鼻茸(ポリープ)が充満している場合は鼻洗浄や点鼻薬だけでは症状が改善しないことが多いため、手術治療を勧めることがあります。

手術では、点鼻薬や鼻洗浄だけでは消失しないポリープなどを取り除き、副鼻腔の自然孔を拡大したり、不要な壁を切除したりしていきます。

ただし、手術をしてもその後の治療やセルフケアを行わないとすぐに再発してしまうことがありますので長い期間の治療や経過観察が必要となります。


 

好酸球性副鼻腔炎の手術の効果とその後のケア

再手術などを行わずにすむ治癒率は50~60%程度と言われています。「重症の好酸球性副鼻腔炎」と診断された方、喘息を合併している方はほぼ全員の方にポリープが再発してしまいます。

ただ、手術後は外来で容易に副鼻腔の奥まで確認することができますので、まずは外来での処置や内服薬や点鼻薬の追加、鼻洗浄の継続などにより様子を見ます。 再発したポリープを切除するために再手術を勧めることもあります。

「においがわかるか」「頭痛がしないか」などの症状を参考に再手術するかどうかは判断していくことになります。

 

そして何より重要なことは患者さんご自身による自宅でのセルフケアです。

41℃前後のお湯に食塩を入れて(0.9~1%の濃度)鼻洗浄(鼻うがい)を毎日しっかり行っていただきます。

また、手術直後はむしろポリープが再発しやすいので、抗生剤やステロイド薬の内服などをしばらく続ける必要があります。

定期的にファイバースコープ検査を行い、副鼻腔の状態をチェックし、また、術後3か月から半年程度のタイミングでCT検査を行い、手術の効果を確認します。

 

術後、最初の1か月は週に1回程度の通院、その後は1~3か月毎の通院をすすめています。

半年から1年たつと再発しやすいかどうかなどが大体把握できるようになってきますので、私たちのクリニックではまず1年は通院してくださいと説明します。

 

しばらく通院されていない場合などは嗅覚・鼻閉・頭痛などの症状の悪化を目安にして受診をしてください。